目次
お好きな場面からどうぞ
(2) 冬の終わりの休日、産院の待合室は穏やかに晴れた陽が射し込んで柔らかく輝いていた。
(3) ソファに座って、スマホを取り出しても、僕はすぐには電話を掛けられなかった。
(4) 「一応言っておきますけど、これからの明日菜ちゃんをよろしくお願いしますよ」
(5) フュージティブを再結成させる、その一大事業に、最後まで欠けたピースが二つあった。
(6) 「恵子さんの歌は、あのリハーサルだけでも充分だったっていうか、不思議なんです。
(7) アンコールに予定通り、カモン・フィール・ザ・ノイズを演奏してすべてのプログラムは終了した。
(8) 僕の上島さんに対するあらゆる懸念を知ってか知らずか、携帯の向こうで未だ興奮した調子の明日菜ちゃんは、
(9) 「でも、あんまり真に受けない方がイイよ、上島さんの話は」
(12) また病院に戻ってくるんだから、と僕は自分の車の前まで行ったけれど、鍵がないことに気がついた。
(13) 「家族って、その言葉を聞いて思い出すシーンがあるんだ」