昔 私は思つてゐたものだつた

恋愛詩なぞ愚劣なものだと

  

今私は恋愛詩を詠み

甲斐あることに思ふのだ

  

だがまだ今でもともすると

恋愛詩よりもましな詩境にはいりたい

  

その心が間違つてゐるかゐないか知らないが

とにかくさういふ心が残つてをり

  

それは時々私をいらだて

とんだ希望を起させる

  

昔私は思つてゐたものだつた

恋愛詩なぞ愚劣なものだと

  

けれどもいまでは恋愛を

ゆめみるほかに能がない

 

(憔悴 中原中也  より)

 

  

  

 

<目次>

 

一日目 朝

一日目 昼

一日目 夜

 

二日目

三日目

 

四日目

五日目

六日目

七日目

八日目

 

最終日

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