歳を重ねると、女性を想像の中で簡単に服を脱がせることが出来るようになる。それがモンタージュみたいな、誰かの裸とのアイコラだったとしても、リアルに毛穴から汗の滲みそうな、裸身が頭の中で像を結ぶ。白無垢姿よりもずっと、現実感に溢れている。

明日菜ちゃんを僕は一瞬で裸に出来る。ふくよかな胸元を晒して、しっかりと大地を踏みしめる足の間にぼやけた秘密の部分を隠している姿が浮かんだ。もっとも、その想像はきっと初めてではないはずだ。

そしていつものように、そこで想像は停まる。はっきりとそれ以上の行為を想像する気力がない。

萎えてしまうのだ。

それは明日菜ちゃんのせいではない。彼女は十分に魅力的な姿をしている。

年齢のせいもちょっとある。僕の娘、といってもいい歳の差と、法律違反という反社会性が僕の肩を掴んでいる。だが、それぐらいをぴょんと跳び越える気概はいつでも持っているつもりだ。

結局、原因は、音楽、という接点に尽きる。

僕と彼女がギターという楽器で繋がっている、そのことが僕らの全てなのだ。

敢えて言えば、それは失敗から学んだ結論でもない。バンドメンバーと付き合ったことは何度かあるし、ちゃんとイイ結末を迎えたわけではないけれど、それがブレーキの理由ではない。

理由はその向こうにある。

 

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