帰り道、僕らは再び駅の方に歩き出した。アーケードに戻ろうと思ったけれど、人並みに押されているウチにその方向へと流されてしまった。どちらのルートを通っても、駐車場にはそれほど距離は変わらない。

僕も明日菜ちゃんも、ノロノロと歩きながら、ケータイをパチパチやっていた。妹は、何処吹く風で、ゆらゆらと揺らぎながら歩いている。

僕のケータイには、誰からもメールも着信もなかった。代わりに、一応、モモちゃんにメールを打っておいた。最後に、人混みの写メを添付しておく。花火の写真を撮るのを忘れていた。妹だけでなく僕も、もっと長い時間、上がるものと思っていて、すっかりタイミングを失っていたのだ。そのことも一応添えておく。

ただ、妹と一緒、と言うことは伝えても、明日菜ちゃんのことは一言も触れていない。写メに彼女の頭と髪を纏めたピンクのゴムは映っているけれど、それ以上何も伝えない。何を心配したわけでも、別に隠したわけでもないけれど、なぜか、僕は濁した。そういえば、僕はモモちゃんに明日菜ちゃんのことは話したっけ、と思う。

 

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