お城の近くの臨時の駐車場に何とか潜り込んだ頃には、もう夕闇といってよかったけれど、すぐ側でまだダンスパフォーマンスをやっていて、照明が煌々としていたので、すぐには気付かなかった。

車を停めた頃には、明日菜ちゃんの電話も終わっていた。駐車場になっていた場所は、普段は小学校の校庭で、春のお城祭りでも駐車場になる。ここから明日菜ちゃんの家はすぐ近くで、今通っている高校はすぐ裏だった。一度家に帰ってギターでも置いてきたかったかもしれないけれど、彼女は黙って僕らの行動に従った。ギターを置いたら着替えて、となるとますます妹が浮いてしまうと思ったけれど、そこまで明日菜ちゃんが気を回したかどうかはわからなかった。

そのギターを車の中に置いたまま、外に出た。さすがに肩に提げたまま街を歩くほどの体力はわき起こりそうになかったけれど、僕が車のロックをかけても、何度も後ろを振り返っていた。

駐車場を出ると、もう人の波が北へと流れていた。そのむこう、市民広場の前あたりは交通規制をして、人が溢れている。派手な音楽が大音量で流れ、それが祭りの音とはすぐには気付かない。ライブでもやっているかと思ったけれど、少し行くと、それに合わせて踊っている集団が見えた。

僕らは、ダンスには興味なく、花火が目的だったので、素通りする。街のあちこちで、ダンスは繰り広げられているのだけど、少なくとも僕は余り興味もなく、ぶらぶらと夜店を眺めている方がずっと楽しそうだった。

 

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