妹の背負っている人生を知っている僕には、その格好には苦笑しか返せなかった。

そしてどことなく、現役と、コスプレの違和感のようなものが、はっきりと見て取れた。何処がどう、というのははっきりわからないのだけど、妹の方には着慣れていない、よそよそしさのようなものが、そこここに滲んでいた。

「ああ、やっぱりスカート丈が全然違うな。アタシらの頃は、まだ長さを競ってたからな」

妹は現役の頃、マンガのホットロードのようなものに憧れていた節はあるが、実際は品行方正な、校則の範囲内での背伸びが精一杯だった。それでも、スカート丈は、明日菜ちゃんと比べると格段の差がある。膝が出ているのと、出ていないのとではこれほどまでに印象が違うのか、と僕は初めて知った。

妹は明日菜ちゃんの横に並んで、そのスカート丈を見比べていた。明日菜ちゃんは、同じような夏の制服で、普段はベストがセットだけど、それを脱いで、白のシャツだけになっていた。スカートは妹と比べると藍色が濃くて、そして短い。おそらくそれはレギュラーではないだろうけれど、それにしても、時代の変化をそんな所で感じてしまう。

「いかがわしい風俗のコスプレだよな、それ」

僕は思わず、スカートを指さして言った。それにしても、全く悪びれも、恥ずかしがりもしない、妹の度胸に、僕は驚いていた。僕の言葉など何処吹く風で、妹はしきりに明日菜ちゃんの制服のあちこちを、触ったりめくったり、撫でたりして、自分との違いにいちいち声を上げている。

そのうち明日菜ちゃんも、それに合わせて、妹のスカートの丈を短くする方法を伝授したり、自分の持っているアクセサリーで、髪を飾ったりし始めた。僕は車に凭れて、その様子を眺めていた。

 

戻る 次へ