しばらくしてバタバタと大げさな音がして、玄関から妹が出てきた。

その瞬間、僕も明日菜ちゃんもあんぐりと口を開けてしまった。

「麺棒と一緒に見つけたんだよ」

と笑いながら、妹は僕たちの目の前でくるりと一回転して見せた。妹が着ていたのは、紺色のリボンが垂れた、何処をどう見てもセーラー服だった。

「高校の時着ていた奴、まだ残ってたんだよ」

確かにそれは、妹の高校の夏の制服だった。どうやって仕舞っていたのかわからないが、上着のほとんどを占める白はほとんど汚れてなかった。襟もプリーツスカートも全く綻びもなく、ご丁寧に妹は靴下も紺のソックスで、ローファーを履いていた。つまり、全く高校生の頃と変わらない格好で、僕らの前に現れたのだった。

「これなら、明日菜ちゃんと並んでも怪しまれないだろ?」

「お前いくつになったんだよ」

思わずそういう台詞が口をついて出た。そういえば、夏の初めに誕生日を迎えたのだった。

だが、妹はスカートの裾を持って左右に拡げると、バレエのお辞儀のように、足を折り曲げ身体を傾けて、

「じゅうろくさい」

と戯けて言った。

 

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