それからずっと仕事も休んで、妹は泣いてばかりいた。僕らは何とか、無理矢理にも自分の生活を取り戻したけれど、やはり七夕の空いた穴は、ひどく大きく、深く、見ようとしなくても視界にはいるほど密接だった。

やがて、涙も涸れたのか、妹は縁台に座って一日、呆然としている日が続いた。一号も、僕も、努めて声をかけるようにしたけれど、妹は生返事ばかりで、コミュニケーションとはほど遠かった。僕らは相談して、一度医者に見せた方がいいか、とか、誰かこういう時に逢って話が出来る人は居ないか、と考えていた。

そしてある日、妹は何も言わず、突然僕らに夕食を作り始めた。

その日は日曜日で、僕は一日家にいて、偶々一号も休みだった。台所でガチャガチャ音がし始めたので、覗いてみると、妹がシンクの前に立っていた。水音がして、皿を洗っていた。

しばらくして、ご飯、と妹がそれだけを告げに来た。

キッチンの前のテーブルにはいつもの食事が用意されていた。しっかり三人分。数以外は、何も変わりのない、四人分が、一つ減っただけの食事だった。僕と一号の夕食が並んでいて、その反対側に、妹の分があって、その隣がぽつん、と空いていた。

その日は三人とも、無言でただ、出されたチキンカツを食べた。

 

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