僕が怪我をして一番近くの整形外科に駆け込んで、一通り処置が終わった後で、看護師に連れられてレントゲンだ、血液検査だ、血圧だ、とあちこち廻った。その時に、着いてくれたのが、みんなにモモちゃん、と呼ばれている看護師の女の子だった。

その外科に勤め始めて三年のモモちゃんは、どちらかというとポッチャリしている方で、かろうじて肉付きの限界を押し止めているが、気を許すときっと、ドンッと丸くなるような、そんな見た目をしていた。白の制服に、薄いピンクのエプロンを引っかけて、パタパタとリノリウムの廊下を歩く時に、どこから声が出ているのだろうか、と思うようなかわいらしい声で、大丈夫ですか?痛くないですか?と酷く甘えたように訊いてきた。

そして、彼女は笑う時に、デヘヘ、と笑った。

年の割に幼さが気にかかるけれど、不思議と愛嬌があって、とても印象的な女の子だった。美人ではないけれど、それ以上にイイお母さんになるような気がした。

最初は、自分のことに精一杯で、それどころではなかったけれど、毎日通院している度に、モモちゃんに逢って、そして必ず最後は、モモちゃんに包帯を巻いてもらうようになった。通院がとびとびになると、モモちゃんはいついつが休みですから、それ以外に来てくれたらまた包帯巻きますよ、と言ってくれた。

 

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