「普通、そういう死に際って静かに、ご臨終です、でヨヨヨって泣き始めるものだろ?それもしんみりと。それが、じいちゃんがあんな風に最後逝っちゃったから、もうホラーだよ、ホラー」

妹は堪え切れなくなって、アハハハ、と声を出した笑い始めた。

「俺たちも相当怖かったんだけど、すでに隣でタッチャンが泣き叫んでいるだろ?もうしんみりどころの話じゃなくて、大人達はクスクス笑い出しちゃって」

タッチャンのせいではなく、言ってみれば祖父が悪いのだけど、あんな形相、あんな行動を、目の前で見た僕らには、相当なトラウマだった。ただ、その瞬間に、ピンと張りつめていた緊張が切れたのは確かで、哀しみよりも、驚きの方が先に立った。

「それから本格的に葬式の準備が始まったんだけど、もうタッチャンは全然泣きやまなくて。あれには往生させられた」

と言う妹も、葬式の間中は、酷くこわばった顔をしていて、その時の写真にそれが残っている。僕自身も、何かまだ起こるんじゃないか、という不安が残っていて、それがありありと表情に浮かんでいるのだ。

 

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