その後に、奉仕の心とはなんでしょう?という風に、遅々として進まない被災地支援、復興対策を司る政府を、痛烈に批判したのだが、冒頭の言葉が、いくらか被災地の人の感情に配慮が足りない、という風な批判もあった。

偶々僕はそれを見ていて、僕自身はこの時期に中原中也、ということにわずかなあざとさを感じながらも、けっこう感心したのを覚えている。

それをもう一度朗読した彼女は、実はこの詩を教えてくれたのは、私の大切な家族です、と告白したのだ。家族とは、実は今高校生になる息子のことです、の一言が、衝撃を増幅させた。きっと、そのことを承知で、町間摩耶は告白したのだろう。

その後、今回の震災で、私自身家族の大切さを身に染みて感じた、そして、世間には隠していたけれど、自分にもちゃんと家族が居るということを改めて思い、考え尽くして、これからはちゃんと家族の絆を自分の中に育てることに重点を置きたい、と締めくくった。

翌日、隠し子発覚、という大きな見出しが、スポーツ新聞を飾り、そのプレスリリースとして、この春で、夜のニュース番組を降板することが発表されていた。それきり、テレビで彼女を見ることはなくなった。引退ではなく、充電期間を設ける、ということだったが、芸能ニュースが一段落すると、もう誰も彼女のことなど忘れてしまったかのように、静かになってしまった。

 

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