愛するものが死んだ時には、

自殺しなけあなりません

 

愛するものが死んだ時には、

それより他に、方法がない。

 

けれどもそれでも、業が深くて、

なほもながらふこととなつたら、

 

奉仕の気持ちに、なることなんです。

奉仕の気持ちに、なることなんです。

 

愛するものは、死んだのですから、

たしかにそれは、死んだのですから、

 

もはやどうにもならぬのですから、

そのもののために、そのもののために、

 

奉仕の気持ちに、ならなけあならない。

奉仕の気持ちに、ならなけあならない。

 

春日狂想

河上徹太郎編 中原中也詩集(角川文庫)より

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