叔父さんというのは、僕の父のすぐ下の弟で、昔から何かと世話焼きで、でもその半分以上はどうも鬱陶しい方に傾くことが多かった。無碍に断れないのがくせ者で、特にうちの両親が交通事故で急逝して以来、何かとおせっかいに来ることが多くなったのだ。

妹が離婚する時も、何かと横から口を出して混乱したし、親戚連中の行事には一番に顔を出し、そのお供に僕らを連れ出したがる。先日も、愛媛の山奥にある実家の法事に、僕も妹も予定を押しのけて参加させられたばかりだ。

僕が今働いている職場を紹介してくれたのも叔父さんで、それは珍しくありがたい出来事だったのだけど、それが余計に無用なおせっかいを断れなくする原因にもなっていた。あげく、僕は其処で小指の先を無くしたわけだけど、それを叔父さんのせいにするのは無体だろう。

「お前が作ったって言ったら、泣いて喜ぶぞ」

僕は重ねた。妹は顔の半分だけを歪めて、いかにも悪巧み、といった表情で笑った。そのままで、僕を睨むと口を開いた。

「そうそう、叔父さん、うちの法事にも顔を出す、って」

今度は僕がしかめ面をする。先祖代々の法事は、いつもお盆時期にやるので、僕らの両親の法事は、いつも秋の彼岸にずらせる。いつもは、内々で済ませるので、僕と妹が、お墓のある地元の寺に出向いて、お経を上げてもらう。

 

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