その時、僕の部屋をノックする音がした。僕も彼女も同時にドアの方を向く。向いた時にはもう、内開きのドアは開かれていて、そこから妹が顔を出していた。

あ、どうも、と彼女が会釈すると、うん、と妹は横柄に返事した。

「うどん打ったけど、喰うか?」

妹はそういうと、答えも聞かずに、下で待ってる、と言い捨てて、顔を引っ込めた。妹の口調は、ずいぶんと荒っぽい。僕はもう慣れたけれど、男勝りの物言いは、知らない人には驚異に聞こえることがある。僕だって時々は、辟易する。

「休憩にしよう」

僕の言葉に、彼女は頷いた。

ギターをスタンドに立てかけて立ち上がろうとすると、またドアが開いて妹が顔を出した。

「オメェら、鼻息荒いぞ、ヘッドフォンしているから気がつかないかもしれないけど」

そういうと、クスクス笑って、また下へ降りていった。

 

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