仕事に行かない日々は一ヶ月続いた。職場復帰しても、通院はずっと続いて、指先の様子を見ていた。診察を受けるたびに、どす黒く変色した小指の先を見て、僕は未来の予想図をだいたい描き始めていた。

そして、やっぱり落としましょう、という診断を受けて、手術をして、それからまたしばらく、仕事を休まなければならなかった。夏の始まりに怪我をして、また夏の終わりに手術をする。今年の夏は、結局、怪我に終始した。

僕のそんな夏とは裏腹に、高校生活最後の夏休み、まさにセブンティーンの夏休みに、ことのほか思い入れをたっぷり抱いていたのが、今目の前で難しい顔を崩さない、彼女だった。

 

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