別に僕は下手をうって、オトシマエをつけさせられたわけでもなく、ただの事故に過ぎない。でも、きっと、僕の小指に気づいた面識のない人たちは、多くが誤解するだろう。そして、面識のある人には、いちいち小指のことを説明しなくてはいけないだろう。

実際は、見て見ぬ振りされて、僕の印象を誤解されたまま、それを甘んじて受け入れなくてはいけないことになるのだろう。

それは仕方がないことだ。

わかっていても、心が傾いたまま、釈然としない何かを僕は抱いている。痛みを乗り越えるリハビリよりも、ずっと長く、僕は心のリハビリを続けることになるんだろうか?

ただ、目の前にいる現役女子高生は、何故か、僕が包帯をしているのを見て、大きな声を上げて泣き出したのだった。

 

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