CDブック 音楽活動


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ブルースマンの恋 発行(単行本) 1989年9月27日(水) 出版社 東京書籍
単行本 文庫本 発行(文庫本) 2000年12月20日(水) 出版社 中公文庫
共著
ブルースマンの恋 ブルースマンの恋 CD曲目 ※文庫本の方にはCDは着いておりません。
 1  I Just Want to Make Love to You   Muddy Waters
 2  Dust My Broom   Elmore James
 3  Levee Camp Moan   Son House
 4  Love in Vain   Robert Johnson
 5  The Red Rooster   Howlin' Wolf
 6  I Don't Know   Sonny Boy Williamson
 7  Sweet Black Angel   Robert Nighthawk
 8  Honest I Do   Jimmy Reed
 9  Crackin' up   Bo Diddley

穀潰し生活に入ってから、日曜日は部屋の掃除、というスケジュールが固定している。掃除の間、CDをかけるのが恒例になっているのだけど、ある日、ロバート・ジョンソンの例のコンプリートをかけていた。今は午前中をその時間に充てているけど、その時は夕方頃で、空が茜色に染まりだしていて、部屋に射し込む陽の光がなんとなく、褪せた色をしたその音に凄くマッチしていた。そこから似たような経験をしてみたくて、ブルースを聴くようになっていた。でも、ロバート・ジョンソンはもうそれ以上CDでは聴けないし、何から聴けばいいのかしら、と思っていた時に思い出したのがこの本。

それまでは音楽本の一冊、という程度にしか読んでいなかったけれど、急に私のブルースの指南書に変わった。同じ様な経験は、まさしくストーンズの時にもあったわけで、つまり健さんは常に私の数歩、先を歩んでくれているというわけ。

ブルースのレジェンド達は、著作権が切れたのか、日本円にして千円にも満たない価格で三枚組とか、平気で投げ売りされているのでわりと簡単に手に入る。なので、集め出すとババッと集めて結構な数を聴いている。そしてクルマ用にCDを焼いて、いつか健さんを助手席に乗せて香川に案内する時にはこれを、とか夢想していたりする。

文庫の方を先に読んで、そちらは文章だけだったけれど、元々はCDブックとして発表されていて、そちらはごく最近になってCD含めて手に入れた。さすがにCDは別のケースに入れて補完しているけれど、ジャケットをカバーをそのままコピーしてパソコンで作ってみたりした。こういう楽しみも、今は随分と少なくなった気がする。



ハミングバードの頃 発行 1990年10月27日(土) 出版社  東京書籍
      ハミングバードの頃 共著
CD曲目  1  No Expectations   THE ROLLING STONES
 2  Angel   Jimi Hendrix
 3  Wish You Were Here   PINK FLOYD
 4  Schooldays   THE KINKS
 5  Mother   John Lenon/PLASTIC OONO BAND
 6  Wonderful Tonght   Eric Clapton
 7  I Was Only Joking   Rod Stewart
 8  Ealk on the Wild Side   Lou Reed
 9  House at Pooh Coner   LOGGINS & MESSINA
 10  A Song For You   Leon Russell

健さんセレクトのロック・コンピレーション。CDブックという形式だけに、ライナーが一冊の本になったような、豪華な気分。これはロックンロール・コレクション1と銘打たれているように、第一弾になる。特にバラードに視点を置いてセレクトされている。

健さんらしいセレクトと云えばそうだけど、見方を変えれば、ロックスクールの初級編のようにも見える。ロック好き、といいたければ最低これだけのアーティストは聴いておけ、というような感じ。もちろん健さんがそれを強要しているわけではない。

余談だが、昔女の子とセックスしている時に、どんな音楽をかければいいか、というのを当時童貞だった男に享受したことがある。TOTOとかいろいろ上がったけれど、絶対にビートのきいた曲は止めておいた方がイイ、という共通点があった。それはバンドをやっていると、気がつくとリズムに合わせて腰を振ってしまっていることがあるからなのだ()。ついでに云うなら、前にセックスをしながら、レッチリのライブを流していると、つい何かの拍子にそちらに魅入ってしまい、思わずかっこえーと口走って女の子に怒られたことがある。

それはさておき、優しいバラード集は、やはり健さんならではの落ち着きがある。さて、今の健さんならどういう風にアップデートするのだろう?



彼が愛したテレキャスター 発行 1991年1月15日(火) 出版社  東京書籍
      彼が愛したテレキャスター 共著
CD曲目  1  Jumpin' Jack Flash   THE ROLLING STONES
 2  We're not Gonna Take it!   THE WHO
 3  Stay with Me   FACES
 4  Move Over   Janis Joplin
 5  Light My Fire   THE DOORS
 6  Still A;live and Well   Johnny Winter
 7  Looking for a Lave   J.GEILS BAND
 8  The Night They Drove   Old Dixie Down THE BAND
 9  Born to Run   Bruce Springsteen
 10  God Save the Queen   SEX PISTOLS

健さんセレクトのロック・コンピレーション第二弾。今回はテレキャスターというギターに注目している。ウチにはギターがアコギも含めて九本ほどあり、それぞれに特色があるのだが、それに見合う曲を弾こうとすると、自ずとアーティストを探すことになる。レスポールを使って弾かれた曲は、レスポールで練習した方がイイし、ストラトならストラトを持つアーティストの曲、なんていう風にだ。

これだけネットに情報が氾濫しても、案外その部分の情報は少ない。テレキャスと云えばキース、というのが常識だけど、キースは最近セミアコのES-335も使っているし、レスポールの神様ジミー・ペイジは「天国への階段」のソロをテレキャスターで弾いている。そういう細かい部分になると、結構曖昧なままでスルーされている。クラプトンだってブラッキーばかり弾いているんじゃないのだ。

元々テレキャスターというギターは、大量生産を目的に設計されていて、ギターとしては非常にシンプルな構造をしている。だから、安価でしかも、手を入れると様々に色を変える。余談だが、私はギターをこれから始めようという人には、必ず安い安いゴミみたいなギターを勧めている。それである程度練習し、連れ回し、引き倒し、転がし一緒に寝て、隅から隅まで知った所で、本当に欲しいギターをチョイスした方がイイと思うのだ。パソコンも然り。そういう時の入り口に、テレキャスは結構理にかなっている。

私は非常に廉価なギターを改造して、クラプトンのブラッキーもどきを作ったし、安価なテレキャスを手に入れて、ハムバッカーPUをフロントに乗せて、キースのミカウバーもどきを作った。もちろん六弦を外した五弦仕様。細部はかなり曖昧なので、ミカウバーならぬサクラバーと名付けている。ちなみにそのサクラバーは、もちろん桜庭ななみさんからとっているので、裏にはしっかり彼女のステッカーを貼り付けている。



ファンタスティック・シティへようこそ 発行 1991年5月10日(金) 出版社  八曜社
      ファンタスティック・シティへようこそ 共著
CD曲目  1  GOD OF ROCK & ROLL
 2  PUSSY QUEEN
 3  BACKSTREET
 4  LONG HOT SUMMER
 5  (You May Be An)ISLAND
 6  HARD RAIN/今日も激しい雨が
 7  BAD BOYS
 8  EMPTY HEART
 9  HE WAS A HIPSTAR IN 70'S
 10  MOTORCYCLE BLUES
 11  SAVE THE LAND
 12  YESTERDAY'S BLUES

健さんが関わってきたバンドはザ・ルーディーと、ソー・マッチ・トラブルの二つだけど、前者は筌尾さんが参加しているバンド、後者は筌尾さんがいないバンド、という分け方が出来るのだと思う。ザ・ルーディーというバンドは、「ロックス」という小説があるように、またエッセイでも盛んに熱く語られていたように、健さんにとって大きな意味を持っていたのだという風に、私は解釈している。

他人がその人間関係にとやかく言うのはゲスの極みだが、何かがあって袂を分かつことになってそれぞれの道を歩む。ロックバンドにはわりとありがちな話ではあるけれど、そこに渦巻く感情は単純でもまた簡単に納まるものでもないものだ。

この本は一応健さんのベスト、というより健さんのソロを含めたザ・ルーディのベストという位置づけのCDブック。ザ・ルーディにピリオドを打ち、ソロを一枚挟んで、新たにキックオフする、その過程をどこか浮遊感のある視点で描いたもの。袂を分かつ部分に重きが置かれているわけではないけれど、ザ・ルーディの歴史をここで一度フィクスしておきたい、という趣旨なのだろう。

ザ・ルーディ時代の健さんを、私はテレビで見たことがある。その時のことは、健さんに直接逢った時にお話させてもらった。すると、エッセイには書かれたことのない、もっと赤裸々な話を教えて頂いた。ちなみにテレビではその後、ロック映画の特集のナビゲーターのような感じで出演されているのも見たことがある。

そのザ・ルーディのテレビ出演の秘話も、やはり筌尾さんの話に終始していた。そこに、やはりこの本が記された意味があるんじゃないか、と勝手に思っている。

CDについて

CDを聴く時になるべく先入観を抱かぬように、ということを心がけていても、CDブックではどうしたってそういうわけにはいかない。せめて、本を読む前に聴く以外あるまい。奈乃で、最初CDを聴いた時に、アア今度は健さんのボーカルもイカしているし、何よりオリジナリティに溢れているなぁ、これが一番好きだな、と思った。やっぱりバンドっていうのは進化するんだな、なんて。実はその時点で、ソー・マッチ・トラブルの新譜だとばかり思って聴いていたのだ。

ところが本を読んで初めて知った。これはそれまでの健さんのベスト、というよりもほぼ、ザ・ルーディのベスト盤なのだ。残念ながら、これを聴くまで、ザ・ルーディの音は聴いたことがなかったのだ。正確にはテレビに出た時聴いたんだけど、もう何十年も前の話だし。

つまり、私が一番最近聴いた、今持っている一番古いアルバム、なのだけど、未だに新鮮さを失わないというか、ここにいる健さんは本当にかっこいいよ。



アニマルハウス 発行 1991年7月20日(土) 出版社  八曜社
      アニマルハウス 共著 木村大介・絵
備考  1  MONKEY
 2  MELTING DOWN
 3  SWEET NIGHT
 4  WALKIN'
 5  ROCKIN' DOWN THE WILD PLACE
 6  悪魔のささやき
 7  RED WINE BLUES
 8  SCARLET ROSE
 9  BLOODY MORNING
 10  真夜中を抜けだして
 11  MOTHER(AM I RIGHT OR WRONG?)
 12  ANIMAL HOUSE

CD付きのいわゆるCDブックだけどどちらかというと、ソー・マッチ・トラブルのアルバムの拡張版歌詞カード、という感じ。アルバム先行か、ストーリー先行かはわからないけれど、物語を読みながら音楽も楽しめる。ロックスと同じアプローチ。

メンバーを動物に見立てて、という話の構成でロックバンドを描いているけれど、そこはかとなく、というか裏テーマのように反原発が顔を出してくる。健さんは昔から反原発の立ち位置で、と私も思っていた。

それがこれより数年前のルーディーズ・クラブを読んでいると、もう少し引いたポジションに立っているようなことを言っていて、ちょっと驚いたのだ。地球環境への問題意識とか、反核に対する考え方は変わっていないのだけど、そこに対するアプローチにもっとペシミスティックさが漂っているのだ。現在のようなポジティブな姿勢とは少し違っている。

それが何がきっかけなのか?やはり東日本大震災か、と思うがそうでもないようで。もう少し前に遡っているのが、このCDブックを読むとわかる。「セイブ・ミー」辺りではハッキリと反原発を打ち出しているので、やはり健さん自身の体調の変化のようなものと関係しているのだろうか。

さて、CDブックだけど、本にCDを挟んでおくのは心許ない。この中でもジャケットを着けてケースに仕舞ってね、というように促されている。ただ、いきなりジョキジョキ切ったり貼ったりするのはさすがに気が引けるので、パソコンでスキャンして作りました。イイ時代になったものです。

CDについて

ソー・マッチ・トラブルとしてのファーストアルバム。初めて聞いた時に、バンド・サウンドというよりは、もっとばらけた感じ、というかもっとスタジオ・アルバム的な作り、とでもいうのか、そういう意味ではミックが来日した時のバックバンド的というか。ザ・ルーディが健さんのバンドだったとすると、ソー・マッチ・トラブルは健さんwithって感じかな。ゴリゴリした感じが薄れて、もっとポップというか、こういう言い方は変だけど、売れ線というか。それが結果、次のアルバムに繋がるんだな、と思う。



ジャマイカ飛び 発行 1999年2月18日(木) 出版社  VOYAGER
      ジャマイカ飛び 共著 山口昌弘・写真、内海朗・ビデオ
備考 CD-ROM.。
山川健一ジャマイカもの作品を収録。
付録の小冊子にも一文(T-Timeで蘇るジャマイカ)を寄せている。

2018年になってこの存在を知り、慌てて手に入れたのだが、時既に遅し。20年近く前のCD-ROMは現代のパソコンでは読み込めなかった。正確には、ウイルス判定が出て、インストール出来なかったのだ。最新版にアクセスしたり、いろいろやってみたけれど私の拙いテクニックではどうしてもダメで、結局コンテンツ自身はまったく楽しめていないのだ。

内容を辿ると、健さんのジャマイカ関連の作品がすべて入っている、とのこと。中でも、「星とレゲエの島」を健さん自身が朗読している、というのは大変興味を惹かれるのだが、残念でならない。どなたか解決方法をご教示いただければ幸いだ。

このCD-ROMブックが発売されたのが1999年。パソコンはまだカウンターカルチャーの一部だった。ハードもソフトもまだまだ過渡期で、試行錯誤が続いている。ただ、その過程を目の当たりにしていると、めまぐるしく変わっていく様子はそれはもうエキサイティングなモノだった。

その頃はなぜか、秋になるとパソコンのリフレッシュをしていて、OSを入れ直すことから初めて、そのついでにハード校正を拡張したり、新しいソフトを入れてみたりしていた。コレを手に入れたのもちょうど秋風が吹く、夏との境で、なんとなくその頃を思い出した。あの頃はパソコンを弄っているだけで愉しかったし、インターネットを日がな一日辿りつづけたい、と願ったモノだ。

時は流れ、穀潰し生活に入って、その願いは半分叶ったのだが、代わりにパソコンにそんなに魅力を感じなくなった。ツールとして無くてはならないものには違いないのだが、あのドキドキワクワクする感覚は、すっかり失せてしまった。それを振り返ると、まだ20年しか経っていないんだぜ、と思ってしまう。

同じように、健さんもその過渡期に幻惑され、試行錯誤していたんだな。それは、健さんのマック本に詳細に描かれているけれど、その申し子のように、このCD-ROMは歴史を刻んでいるのだと、確信する。



ROCKS 発売 1986年11月 レーベル アルファ・レコード
      ROCKS
演奏 THE RUDE
曲目  1  HARD RAIN 今日も激しい雨が
 2  LISTEN TO ME
 3  GO BE WILD
 4  SET ME FREE
 5  HELLO KEITH
 6  A STORY 時の壁
 7  MIDNIGHT SUN
 8  GLASS OF LOVE
 9  SWEET HOME 水晶の夜
 10  THE END OF LIFE

つい最近、このCDを手に入れて、ついでだから単行本もまだ再読していないので、一緒に読もうと思って、結果、自分の記憶力の無さ、或いは忘却力のすごさに唖然としたのだけど、あの頃、もしこのCDを聞いていたらどんな風に考えただろうか、ということを考えた。

これまた最近、曾てNHK-BSでやっていたBSマンガ夜話、という番組をDVDに焼いて再び見ているのだけど、そこで盛んに出てくるのが、巨匠手塚治虫を軸にして語られる漫画の分析。それと同じモノを、ストーンズに感じてしまうのだ。

つまり巨匠をリアルタイムで聴いていた健さんと、その息子の私たちの世代だと、同じモノを聴いていてもきっとアウトプットするモノが違うはずなのだ。それを果たして、単純に進化、とか、純化、とかいう風にカテゴライズしていいのだろうか、という疑問が湧いてしまう事がある。

私などが音楽を作っても、どうひっくりこけてもストーンズのようにはならない。敢えてすり抜けているところはある。でも、それでも出て来てしまう、というような所がスピリッツなんじゃないか、なんて。すると、このCDに溢れているロックの魂とは、似て非なるモノなのか、或いは同じなのか。実際の所分からないのだけど、それはもしかすると、私がやはり、何かを発信したい、という欲望から逃れられないからなのかな、と。つまり、嫉妬しているんだよね。

今、という時代に利点があるとしたら、きっとそのプリミティブな感情を、割りとあけすけに出来ることなのだろうと私は思っていて、良きにしろ悪しきにしろ、それを発現して後、これまた一刀両断に反応が返ってくる。そういう時代が進んでいくと、つまりはどうでもいいや、ってなってきっとそれが希望に繋がるんじゃないかな、と。

結局何が言いたいのか、というと、小説の方でも拘ったように、これが私が描いていた夢のリアリティなんだな、と思うのだ。それが現実としてあるぜ、と否応なく知っていたら、というのが、私にあらゆる感情をもたらすのだ。良かったのか、悪かったのかは、当然分からない。

でも、このCDに封入されているライナーを見ると、健さんはロック・スターになりきっているのか、そうなろうとしているのか、まだその立場の違いにどこかぎごちなさを感じる。そして、それをロックというモノで、どこか武装としようとしている。音はストレートで、隠しようがないにもかかわらず、だ。だからちょっと、健さんにも夢があったのかな、なんておこがましくも思ってしまったのだ。

ただ、後々、色んな所で健さん自身の話を聞くと、それがまんざら夢の世界の御話でも無いんだよな。やっぱりね、東京は夢乃街なんだよ。少なくともちっちゃなうどんの国よりは。

 



SAVE THE LAND 発売 1990年2月 レーベル センチュリー・レコード
      SAVE THE LAND
曲目  1  DOWN! DOWN! DWN!
 2  DOLL
 3  SO MUCH TROUBLE
 4  LIVIN' IN THE HARDER WORLD
 5  GIN SONG
 6  SILLY GIRL
 7  DEAR BABY
 8  EVERY PLACE I GO
 9  J・LのいないN.Y.シティ
 10  HE WAS A HIPSTAR IN 70'S
 11  SAVE THE LAND

アアこの曲かっこいい、こんな曲エレクラでやってみたいな、というのが、エレクラで曲を作る時の衝動の全て、と云っても好い。結成当時は、だからカバーばっかりやっていたし、オリジナルを作るようになっても、だいたい何々風アレンジとか、誰某に似たギターリフとか、そんなのばっかり。どこかワンポイント頂けば、別の曲に聞こえるような詐欺師的手法には私は長けている()

このアルバムは健さんのソロアルバムで、この延長線上にソー・マッチ・トラブルがある。健さん自身がストーンズが好きなんだな、とよく分かるアルバム。というか、それまんまストーンズじゃない()、という曲が散見される。

そもそも、あれほど健さんのストーンズ愛に触れていて、なかなか私自身がそこに届かなかったのは、世代の差というのが大きい気がする。ちょうど十五年、健さんとは歳が離れているけれど、私が音楽に目覚めた頃は、もう既にミュージック・シーンはストーンズ的なモノを乗り越えようとしていた。その最も大きなものは、世界的にはパンクなんだろうけれど、日本人にはYMOの影響が大きかったと思う。YMOが目の前で見せた音の世界は、まさしく未来の音だったのだ。

つまり、未来の音の洗礼を受けた僕らは、その煌びやかな外見に目が眩んでいる内に、ストーンズが秘めていたロックのスピリットというなモノをスルーしてしまっていたような気がする。もちろんYMOにもその魂は形を変えて脈々と受け継がれていたんだけれども、それに気がつくにはあまりにも光りが眩しすぎたのだ。

それが好いことか悪いことかは分からないけれど、少なくとも私は一足後れても、なんとかロックのスピリットに触れることができたのはラッキーだったと思っている。それを教えてくれた、というより、そういう遠回りも含めて、間違ってないで、と云ってくれたのがストーンズだったのだ。

それ以前を知っている健さんが、またそれが幸福だったのかどうかは分からない。それでも、ここまで信じ切れるのは、羨ましくて仕方がない。だから、まんまストーンズが顔を出しても、私は全然嫌いじゃないのだ。



NEVER MIND TROUBLES 発売 1992年2月21日(金) レーベル キングレコード
      NEVER MIND TROUBLES 演奏 SO MUCH TROUBLE
曲目  1  Something Wild
 2  Never Mind Troubles
 3  レディ・ジェーンを探して
 4  Me And My Car
 5  Candy
 6  Don't Talk To Me, Baby
 7  俺は生き延びる
 8  雨が降っているような気がして
 9  憂うつは似合わない(New Version)
 10  Livin' In The Harder World

このアルバムの中の「憂うつは似合わない」という曲は、テレビ主題歌になっている。なんのドラマなのかは失念したけれど、その辺の話はどこかに書かれてあったはず。

そういう所も含めて、健さんのアルバム、という意識は強い。ストーンズのア・ビガー・バンのツアーの時、再び二階席からの観戦で豆粒状のストーンズだったのだけど、なぜかキースよりミックにばかり目がいった。エンターテナーとしてのミックが際立っていたように思ったのだ。それからいろいろあって、自由の身になってからまとめてミックのソロアルバムを聴いてみたら、改めてそのアグレッシブさに感動して、その時と同じ感慨を、このアルバムを聴いた時に感じた。そういう意味では、やっぱり還暦過ぎてからも健さんには歌い続けて欲しいし、ちゃんとアルバムも作って欲しいな、と思う。



Round2 発売 1993年7月25日(日) レーベル MOON RECORDS
      Round2 演奏 Twist
曲目   1 からまわり
 2 Stop & Go
 3 夢・花・一夜
 4 Pretty Woman
 5 Daddy Gets Blues
 6 Beautiful World
 7 天国から素敵なR&Rを
 8 Sweet Little R & Rer
 9 愛されたい
 10 楽園を追われて

太字の作詞担当

ニュー・ルーディーズ・クラブは、当たり前だけど健さんに関する情報が最も早くそして豊富。翻って健さん自身の人脈を拡げる場でもあったのだと今になって思う。このアルバムは、その顕著な例だと思う。健さんは二曲の作詞を担当しているのだが、それはまさにニュー・ルーディーズ・クラブが繋いだ縁だ。

コーラスとかもう少し関わっているのかなと思って、ライナーを隅から隅まで読んでも、作詞以外に参加の記述はない。他人が歌うことを意識しているのか、健さんの詩はどこかおとなしめな印象。健さん自身をどこまで仮託しているのか、ということを考えるとどこか余所余所しい、言葉は悪いがアベレージな詩だな、と思ってしまう。まぁ、その辺は仕方が無いといえばそうだけど。

健さん以外に、このアルバムには奥田民生、ローリー寺西が詩を書いている。奥田民生は同郷ということで、わかる気もするけれど、ローリーはなんで参加しているのだろう()?再結成アルバム、ということでの企画はわかるけれど、どういう繋がりがあるのかは今のところ不明。コレが今なら両者とも、演奏で参加ということになるのかな。

正直、ツイストというバンドには、デビュー当時以降、まったく触れてこなかったのだけど、音を聴くと、ああそうだよな、この頃はこういう音だよな、と変な言い方だけど感心した。カンカンいうスネアの音は、特に時代を反映している。しかも、コレがイイ音しているんだよ。

それも含めて、ど真ん中の音がしている。だから懐かしい。私は当時二十五歳で、もう香川に帰ってきていたはずだけど、何をしていたのかまったく覚えていない。空白の時間だ。でも、不思議と空気感のようなモノは身についていて、CDをかけた途端、すんなりと肌に染みてくる感覚があったのだ。

バブルの頃の音楽シーンは「イカ天」に代表されるように、印象としてキワモノバンドが増えた、という思いが強いけれど、それでも様々な音に触れる機会がたくさんあった、という意味ではとても貴重な時間だったと思う。今はそういうバラエティに富んだ、という範囲がずいぶん狭くなっているような気がするのは、歳を取ったせいなのだろうか()。メジャーよりも、ネット配信に一縷の望みをかけているようなバンドを、私は結構追いかけているけれど、突出した何かに触れる機会は少ない。みんなカラーが似てしまっている。特に音はみんな似通っていて、演奏者のキャラクター優先というイメージ。

バラエティに富んだ音の中にあるからこそ、王道は輝きを持つ。そのことを今更ながら思い返した一枚だったな。



Flying Cowboys 発売 1989年9月19日(火) レーベル Geffen Records(MCAビクター)
      Flying Cowboys 演奏 Rickie Lee Jones
曲目 日本盤解説「雨上がりの午後の散歩」を寄せるている。

  1 The Horses
  2 Just My Baby
  3 Ghetto of My Mind
  4 Rodeo Girl
  5 Satellites
  6 Ghost Train
  7 Flying Cowboys
  8 Don't Let the Sun Catch You Crying
  9 Love Is Gonna Bring Us Back Alive
 10 Away from the Sky
 11 Atlas' Marker

健さんが解説を担当している、が、解説の感想と云ってもな()。なので、やっぱり、リッキー・リー・ジョーンズの話になってしまうのであしからず。

この度調べるまで、彼女のことはほとんど知らなかった。でも、アルバムは一枚持っている。アコースティック・マガジンにスコアが載っていたので集めた「ポップ・ポップ」。その時の印象は、静かだな、の一言。もっと、ジャカジャカやっているのかと思ったのだけど、しっとりと空間を生かした音。

「ポップ・ポップ」はこのアルバムの後になるカバーアルバムなのだけど、ジャズ系のミュージシャンがバックを務めていて、ちょっと方向違いかもしれないけれど、矢野顕子のフレーバーがある。私はいつも、スピーカーを新調すると必ずリファレンスに、矢野顕子の「ラブ・ライフ」でチューニングするのだけど、その音質によく似ている。ドラムの音がすこぶる好いんだ。

夜寝る前にパソコンを弄っていて、なんとなく静かな音を聞きたくなる。落ち着いた音、という感じを欲していて、そこにギターや派手なビートはうるさすぎる。それが高じて、遂にヒーリングミュージックにまで手を出したのだけど、確かに落ち着くけど、音楽としてはどうだろう。

そんな時不図立ち止まるのが、リッキー・リー・ジョーンズだったりするのだ。ただ、こういう感じ、案外持ってないのだ。

健さんの解説にもあるように、リッキー・リー・ジョーンズはダウナー系、といえる。メインストリームにアッパー系があって、対比としてのダウナー。しかし、そういう時に何を選ぶか、が案外その人の本来のセンスなのかもしれない、と思ったりする。

私の場合、さっきも言ったようにもう声もうるさく感じる時があって、ブライアン・イーノとかそういう方面ばかり漁っていた時もある。

ウィキペディアを見ると、トム・ウェイツと同棲していた、というような記述も見えて、私は驚いた。そう考えると、健さんの手元にあるアッパー系とも繋がるんだろうなというのは判るけれど、その後のジャズ路線はどうなんだろうか。

でも、このアルバムは、最初聴いた時よりも、二回目の方がずっと心やすく、更に聞き込むと肌にじんわりと染みこんでくるような印象がある。そうやってフレグランスのように身に纏う音楽というのも、最近は珍しくなってしまったのかもしれない。



HOUSE 発売 1992年10月21日(水) レーベル 日本コロムビア
      HOUSE 演奏 谷村志穂
曲目   1 パンドラの箱
  2 Dear Baby
  3 ルルにかけた電話
  4 Interlude ~ひとりぼっちの鷲が自分を探して
  5 空から天使が
  6 涙こぼれて
  7 あなただけの瞳に
  8 誰もが、知らぬ間に
  9 Interlude ~草原に舞う光が魂に届く
 10 ワイルド・サイドを歩け
 11 Sunshine
 12 Our House

1,2,11 作曲
2,5 作詞
斉藤誠と共にプロデュース

山川健一完全バックアップ、といって好いだろう、作家・谷村志穂のファーストアルバム。プロデュースのみならず、健さん自らの手による曲を提供しているし、盟友・筌尾正も参加している。

音を聴く前に、そのラインナップを見た限りで想像していた音とはまったく違う、落ち着いたシティ・ポップス、という感じに仕上がっていて、コレがなかなか良質のアルバム。特に「ワイルドサイドを行け」のカバーなんてゾクゾクさせられた。

私はストーンズと並んで、故・宮内和之とボーカル国岡真由美のユニット、「ICE」を音楽の手本にしている。彼等の一曲に「プラスティック・ヒップ」という曲がある。その中の一説にこういうのがある。

「ビデオに出てることなんて 私にとって簡単すぎるの」

なんていうことのない歌詞だけど、コレを作詞したのは宮兄だ。歌うのは国岡驤。つまり、男が女性の口から聞きたい言葉を、敢えて歌わせている。コレこそが、私はプロデュース能力の真髄だと思っている。特にこのICEは色んな幻想を国岡驤に歌わせることで、普遍的なポップスを作り上げている希有なバンドだ。

自戒を込めて言うのだけど、自分が言いたいことを歌や文章に込めるのは簡単だ。望まれる言葉を見いだして、それを聞かせることはセンスが問われる。

まさしくこのアルバムをプロデュースしている健さんは、それを成し遂げている。作詞の多くを作家である谷村驤自身に委ねてはいても、彼女の持ち味を存分に引き出してリスナーに聴かせる、ということに成功している。

健さんの真価というのは、おそらくそのプロデュース感覚の鋭さにあるのだと思う。言葉を駆使しても、歌を歌っても、自分を表現することの本質をわかっている。だからこそ、私はシンパシーを感じるんだな。そして同時に、私に最もかけているのが、その点だと歳を取るごとに身に沁みて思うのだ。

もちろん、その裏側にはいろいろとエゴだったり、色んな情念が渦巻いていたりするのだけど、でもだからこそ、人は人を惹きつけるのだと思う。

ここがLicksという場だからいうんじゃないけれど、谷村志穂ご自身よりも、健さんの真価に舌を巻いた一枚でした。