「さっきの話だけど、みんな元気に、っていうのをキーワードにしているだけで、実はそれぞれ思っていることは違うんだと思う。元気の度合いっていうのかな?その中に、きっと寄り添う、というニュアンスも含まれているんだろうと思うけれど、やっぱり寄り添う、って弱いんだよな。

でも、俺たちに出来ることって、せいぜい寄り添うことぐらいしかできないんだよ。哀しみをわかってあげることも出来ないし、かわりに勇気づけるなんてもってのほかだし、ただ、側にいて、話を聞いてあげる。一緒にいて上げる、それぐらいしかできないんだよ」

無力を知る、だよ。

無力を知る、だね。

お互いに顔を見合わせると、私たちは合い言葉のように、そう云い合った。その言葉を、私たちは何処で知ったのだろうか?でも、なぜか互いに、そのことを知っていた。不思議な体験だった。

 

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