テレビとは裏腹に、ネットは騒がしかった。ニュースサイトに連なるコメントや、掲示板サイトなどは、ひっきりなしに更新されて、私をやり玉に挙げている。話の主役は、私だった。憶測も含めて、なにか大きな思惑が、望む騒動の帰結点を目指して突っ走っているような、そんな気がした。

ネット上で私は、史上最悪の裏切り者になっていた。

そういう認識のされ方は、結構堪えた。スレッドの見出しは、どれもファンに対して、自分がどれだけ背徳の罪にまみれているかを、罵っていた。罵倒しないまでも、おもしろがって煽っているよりはもう少し、悪意に満ちているような気がした。

そうなってくると、怖くて自分のブログは開けなかった。私は少し注目されるようになってから、やっとアカウントをもらって、私専用に装飾を施したページを作ってもらって、そこに当たり障りのない記事をアップしていた。始まったのは、ちょうど失恋の痛手から復帰した頃で、その上向きの昂揚も手伝って、自分の記事にコメントが着くのが嬉しかった。

それが今は、怖くて仕方がない。

コメントをつけてくれるのは、まさしく私のファンばかりで、どちらかというとブログまで見ているのは、コアなファンだ。熱心に私を見てくれている、ありがたいファンだ。

そのファンと暗黙の内に、私は恋愛には手を出さない、という契約を交わしていたのだ。そこに、どんな言い訳も聞き入れてもらえないだろう。こんなに顔が知れる前だ、とか、世間では普通のことが、なぜ私はいけないのとか、そんなに親しくない世間に対しては云えても、ファンに対しては説得できないだろう。

そういう世界に自分が生きている、ということを、こんなに強く意識したのは初めてだった。

浅はかといえばそうだけど、ただ、未だに自分がそこまで注目されることがわからない。ファンとして応援してくれるのはありがたいけれど、なぜ自分なのかがよくわからないのだ。自分よりもずっと華のあるメンバーは、たくさん居るはずなのに。

自分が注目を集めることを望んでいるはずなのに、それは都合のいい言い訳なのだろうか?

元々、私は好かれる方ではないと思っている。顔は十人並み、スタイルも好くないし、胸も小さい。取り立てて目を見張る特技があるわけでもなく、歌が上手いとかダンスが得意とかでもない。不器用も甚だしいと思う。

だから、私は好きになる方だと思う。好きになって、それに応えてくれることが嬉しいのだ。

そこら辺の信頼関係を、甘く見ていたから、今回の騒動になったのかと思うけれど、やはりそれは私の失敗なのだろうか?

そうやって考えていると、結局堂々巡りで、それが昨日からずっと続いている。いい加減、疲れてきた。

 

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