いつの間にか、グループの中で競い合うのが必然になって、仲間意識と、ライバルのせめぎ合いに揉まれることが普通になった。心が強くなければ、そういう世界では生きていけない、と誰もが思っていて、根性とか努力とか、体育会系の流儀が幅を利かせている。

元々漫画を読んだり、アニメを見たりするのが好きなだけだった、どちらかといえば文系の私だったから、最初はずいぶんと戸惑った。レッスンばかりが続くと、身体の疲労も手伝って、いつか心が折れるんじゃないか、という不安に呵まれ続けた。

それになんとか馴染むことが出来たのは、この騒動を仕掛けた張本人の、彼氏の存在が大きかった。

グループの中の大きな歯車を乗りこなす、という緊張から解放される癒しの場所は、自然と外の世界で探すことになった。全く関係のない世界は、学校か、レッスンの前後の短い時間に彷徨う街の中にしかなかった。

彼はそこに現れ、自分にとっての大事な支えになった。そういう意味では、かなり依存していた。恋愛をしている場所というモノが、自分を強くしていると、自分に言い聞かせることで、日々のめまぐるしい怒濤の時間を渡って行けたのだ。

彼の他には、意外なことに、この部屋の主が、新しい私の中の外の世界だった。

 

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