それからリビングのソファに座ったまま、私は主の家の一日目を終えた。食事で、ダイニングテーブルに移った以外は、私はリビングのソファの真ん中に座ったまま、DVDを見続けた。

せっかくだから、映画かなにか、オススメって無いの?と主に訊くと、映画を撮り貯めたDVDはあるけど、といってファイルケースのような物を出してきたけれど、ラベルも何も全く整理されていなくて、ターンテーブルに載せるまで何が録画されているのかすらわからなかった。

AVとか無いの?と訊くと、そんなの昼間から見るもんじゃねぇよ、といったあとに小さく、隠してあるから教えられない、と云った。じゃあ、と云って出してきたのが、ガンダムのDVDだった。

ガンオタ?と訊くと、主はなんの躊躇もなく素直に頷いた。別に私も、アニメが嫌いではないし、普通に好きな物もある。そもそも、主と意気投合したきっかけは、アニメの話だった。

そっちの方が全然いいよ、と云うと、奥の自分の部屋からどっさりとDVDの束を持ち出してきた。

「どうせしばらく居ることになるんだろ?全部見ろよ」

仕返しのつもりか、得意げな顔になって主は云った。

「そんなに居るつもり無いよ。週明け、月曜日にはレギュラーあるし」

そうだな、と主は云ったけれど、その声は低く、なにか奥歯に物の挟まったような響きを宿していた。きっと、そんなに簡単に、収束するとは思っていないのだろう。それほどに、ダメージの大きな騒動なんだ、とまるで人ごとのように私は思った。

 

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