誕生日の日に、鏡を見て自分がいつの間にか、大人の女になっていたのに気がついて愕然とした。いつの間にか、幼さが顔から抜けて、どことなくシャープな線が浮かんでいた。目に見えて何処が、と問われれば戸惑うけれど、漠然と表情に大人の自分が滲んでいた。

恋、とか、愛とか、そういうのを知るのは、別に習ったりレッスンしたりしなくても、自然と身に付くというか、気がつけばその大人の表情と同じように、身に付いているんだろうなと思う。お腹が空くとか、眠くて仕方がないとか、そういうモノと同じとは思えないけれど、カワイイとか、素敵という感情を反射的に感じるように、好きという言葉は口をついて出るんだと思う。

そういう感情が、人一倍強いとか、意識してそう振る舞ったりしたことはないけれど、誰かをいつも好きでいられたら幸せだろうな、と思う。

例えば、目の前にいる二人みたいに。

 

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