きっと、普通なら、特に高校生ぐらいの恋愛の中で、親という存在は、蚊帳の外に違いない。だからきっと、居る居ないにかかわらず、明日菜ちゃんの懸念は、その隠していた、ということの方が重大のなのだろう。裏切り、とまではいかないまでも、あのなんとなくうやむやになっていたパズルが、たった一つのピースをはめ込んで、急に輪郭をはっきりさせたような、奇妙な違和感。それに似たものが、彼女の心持ちを揺らしているのだと思う。

「それであんたは、その町間摩耶に逢ったの?」

「一応紹介されましたから」

「どうだった?芸能人は?」

妹の中で、報道の人間も、歌手も女優もみんな一緒らしい。テレビに出ている人は、芸能人という、自分たちには関係のない人たち、で纏められているようだ。

「なんか、違和感あるんですよね。急に家族、って。これからよろしく、みたいに言われたんですけど、そもそも、そういう付き合いって、したことないし」

僕はその話を聞いて、思い出した。やっと、町間摩耶の印象と、明日菜ちゃんの話が重なり合って、像を結んだ。

 

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