頭ではわかっても、愛とか恋は、身体が自然に反応するモノだ。好き、という感情は、頭でコントロールできるモノではない気がする。

じゃあ、愛ってなんだ?と問われると、答えようがないけれど、だからこそ、特別なんだと思う。

イヤ、それ自身、幻想かもしれない。

本当のところ、私にはよくわからない。よくわからないものを、規制されたり、コントロールできるはずがない、というのが結論かもしれない。

わかるために、経験させてよ、というのは絶対に他人には云えない、本音なんだ。

でもそれが、ルールという名前で囲われて、私たちの背中にぴったり張り付いていることは、やっぱり頭ではわかってはいるけれど、あまり現実味はない。仕事はいつも、分刻みで、次から次へと押し寄せてくる。ブレイクしてからは、それはもう怒濤のように迫ってくる。

それ以前、まだレッスンばかりで誰にも顔も名前も覚えてもらってない頃、こんな時間が来るなんて、想像もしてなかった。思い描く華々しい世界は、忙しさとは無縁だった。忙しさがブレイクの基準という感覚もなかった。

ただ、舞台の中心で、私にスポットライトが当たる日が、きっと私の望む成功だったはず。

相変わらず、誰かの後ろで決められたダンスを踊っている頃に、自分がこんなにも注目される日が来るとは思わなかった。

だから、恋愛禁止、というルールにも曖昧でいられた。

 

前へ

次へ